
カードの先頭に人ではなく予定を置いたスグイコ。カードの並び、人を見る順番、2〜4名の定員、既定を2名にした代償まで、予定を主語にして変わった設計を書きます。
スグイコの一覧に並ぶのは、人ではなく予定です。一覧を開いて最初に目に入るのは「ランチ」「サク飲み」といった中身と、「3人で行く · あと2名」という人数で、誰が立てた募集かは下に小さく出るだけです。近所で今日ちょっと何かしたいときに、まず決めたいのは「誰と」より「何を・どこで・何人で」だと考えたからです。予定を主語にすると、カードの並び、人を見る順番、チャット、距離の出し方まで変わりました。その中身と、引き受けた代償を書きます。
「誰と行くか」から探すと、今日の予定は埋まらない
空いた昼休みや仕事帰りに、近所で誰かと軽く何かしたい。そう思ったとき、先に人を一覧で見て選ぶ形にすると、比べることが目的になりがちです。写真や自己紹介を見比べているうちに時間が過ぎ、選ばれる側はプロフィールを整えることに力を使うようになります。どちらも「今日の予定を埋める」からは遠い動きです。
逆に、予定が先にあれば判断は短く済みます。「近くでランチ、3人で行く、あと2名」と分かれば、行けるかどうかはほぼ自分の都合だけで決まります。誰が来るかは、そのあとで確かめれば足ります。
スグイコの仕様書では、この違いを「アクティビティが先にあって、人が後から付く」と書いています。以下の設計判断は、すべてこの一文から出ています。
カードの先頭に置いたのは、顔ではなく「何をするか」
近くの募集のカードは、左から順にアクティビティのアイコン、予定名、「3人で行く · あと2名」という人数、そして小さく募集主の名前という並びです。距離も正確な値ではなく「〜500m」のような帯で出します。

一覧から外したものもあります。性別は、一覧のどこにも出しません。顔写真・年齢・性別・距離が1枚に並ぶカードは、見る側に「人を選ぶ画面」だと読ませる組み合わせだからです。性別の項目そのものはプロフィールに残していて、見られるのは参加者の詳細を開いたときだけです。
絞り込みも同じ考え方で、選べるのはカフェ・サク飲み・ランチ・散歩というアクティビティだけです。性別で絞る機能は、一度も作っていません。
予定を先に見せても、人を確かめる手順は残す
予定を主語にしたからといって、誰が来るかを見なくてよいわけではありません。むしろ初期の版には、ここに穴がありました。募集カードから直接「参加する」に進むしかなく、募集主の自己紹介も本人確認の状態も見られないまま、行くかどうかを決めさせていました。
そこで参加者のプロフィール画面を足しました。写真・名前・年齢・性別・自己紹介・本人確認のバッジが見られ、ここから参加希望・通報・ブロックができます。近くの募集、地図の募集、チャットの参加者一覧のどこからでも開けます。
順番は変えていません。先に予定、確かめたくなったら人。人を見るのは「この予定に行っても大丈夫か」を判断するためで、誰を選ぶかを比べるためではない、という位置づけです。募集を立てる側にだけ本人確認を求めているのも、会う場所を決める側により重い責任があると考えたからです。
募集を作成できません
安全のため、本人確認(身分証の提出と運営の承認)が完了した方のみ募集を作成できます。マイページから身分証をご提出ください。参加希望やチャットは本人確認なしでもご利用いただけます。
定員を2〜4名にしたら、チャットも距離も作り替わった
予定を主語にする決め手は、定員制でした。1つの募集に参加できるのは募集主を含めて2〜4名で、作るときに人数を選びます。言葉だけ「予定」に変えても、2人で会う形しかないなら、使い方は人を選ぶアプリのままです。人数が増えると、ほかの部分も連鎖して変わりました。
- チャットは1対1ではなく、募集ごとのグループになった
- 承認は1人を選んで締め切るのではなく、定員まで受け付ける形になった
- 合流中の位置共有は、その募集の参加者全員に開く形になった
- 到着の目安は、待ち合わせ場所までの距離で出すようになった
最後の1つは、作り替えるまで気づいていませんでした。相手が1人なら「相手までの距離」で困りません。相手が2人、3人になると、誰までの距離を出すべきかが決まらなくなります。全員が向かう先は待ち合わせ場所なので、そこまでの距離に揃えました。人ではなく予定が中心にある、ということが、距離の基準にまで出ています。

予定は変わるものなので、参加が決まったあとでも抜けられるようにしています。抜けた人の分の枠は、時間内ならまた募集に戻ります。
参加が決まった募集をやめたい
チャット画面の右上(参加者一覧)から「この募集への参加をやめる」を選べます。抜けるとチャットと待ち合わせ場所は見られなくなり、共有中の位置情報も削除されます。行けなくなったときは、抜ける前にチャットで一言お伝えいただけると、他の参加者が予定を立て直せます。
既定は2名のまま。グループらしさより成立を優先した
定員の既定値をいくつにするかは、最後まで迷いました。既定を3名にすれば、立つ募集の多くが3人以上になり、グループの予定らしく見えます。それでも、既定は2名のままにしました。
理由は、使う人が少ない時期に3名を既定にすると、定員が埋まらず合流まで進まない募集ばかりになるからです。近所で「今日ちょっと一緒に」が成り立つ最小の単位は2名です。グループらしく見せるために、予定が成立する割合を下げるのは順番が逆だと判断しました。
代わりに引き受けたこともあります。既定値で、実際の使われ方はほぼ決まります。既定が2名である以上、立つ募集の多くは2名になり、使われ方としては2人の予定に寄ります。そこはごまかさず、2名の募集も「定員2のグループ」として3名・4名と同じ流れを通るようにしました。2人専用の画面や処理はありません。
2名ばかりで3〜4名がまったく使われない状態になっても、既定値を動かす前に、なぜ人が集まらないのかを先に見る。これを見直すときの順番として決めています。
「今日の予定」から外れる機能は、足さないと決めた
予定を主語にすると、足さないものも決まります。どれも頼まれたら作れる機能ですが、入れた瞬間に「今日の予定を埋める」から外れます。
- 性別での絞り込み。予定ではなく人を選ぶ道具になる
- 長く付き合う前提の相性判定や、細かな検索条件
- 探す範囲(半径)を設定で選べるようにすること。広げるほど「すぐ行ける近所」ではなくなる
- いつまでも残る募集。時間が来れば消え、その日の予定として閉じる
探す範囲を固定しているのは、遠い予定は合流まで進まないからです。範囲の外にある募集は、件数だけ知らせるようにしています。
近くに募集が表示されません
本アプリは「今いる場所の近く(半径5km以内)」で、いま募集を出している方だけを表示します。周囲に募集がない時間帯は表示されないことがあります。範囲外に募集がある場合は「参加できる範囲の外にも◯件あります」と件数をお知らせします。
予定を主語にする判断は、もともと審査での指摘をきっかけに全体を作り直したところから始まっています。その経緯はApp Storeに「似たアプリはもう十分ある」と言われて、アプリの主語を変えたに書きました。参加が決まるまで正確な場所を見せない設計は位置情報アプリなのに、正確な現在地を見せないことにした理由にあります。


