AIに返信の案を出させると、整った文章がすぐ返ってきます。ただ、そのまま送ると自分の話し方から離れます。行っていない場所、持っていない趣味、普段使わない敬語。整っているぶん、読んでいるうちに違和感が薄れるのが厄介です。送信前に見るのは五つ、事実・距離感・語尾・質問の数・入力する情報だけです。直し方の具体例と、声に出して読む最後の一手、そしてAIへ何を入れないかまで、実際にやっている順番でまとめます。
最初に見るのは文章力ではなく、事実のほう
直すときに、まず文章の良し悪しを見たくなります。順番が逆でした。先に見るのは事実です。
理由は、事実の間違いだけがあとで回収できないからです。語尾が少し硬いのは、次の返信で直せます。行っていない店に行ったことにすると、その話が次の会話へついてきます。会うことになれば、そこでも続きます。
AIの案に事実が混ざる仕組みは単純です。こちらが渡していない部分は埋められます。埋められた部分は、他と同じ調子で書かれるので、読んでいて境目が分かりません。自分が書いたのか埋められたのかを、文章からは判別できないという前提で見ます。
見るのは次の4つです。どれも、間違っていると次の会話で困るものだけを選んでいます。
見分け方の目安を1つ挙げると、自分がその内容を説明できるかです。「そのお店、雰囲気がよさそうですね」は説明できます。「前に行ったことがあります」は、次に聞かれたときに答えられるかどうかで判断できます。
ここで直す対象になるのは、事実そのものではなく強さであることが多いです。「同じ経験があります」を「似たことがあります」にする、「よく行きます」を「行ったことがあります」にする。嘘を消すというより、確かめられる範囲まで弱める作業になります。
- 行っていない場所や店を知っているように書いていないか。
- 持っていない趣味や好みを自分のものにしていないか。
- 会う、電話するなど、決めていない約束を加えていないか。
- 相手の気持ちを断定していないか。
五つの項目で自分の文章へ戻す。順番も決まっている
順番にも意味があります。事実を先に見るのは前述のとおりで、入力情報を最後に置いているのは、次に頼むときのためです。今回の下書きには影響しませんが、同じ渡し方を繰り返すと積み上がります。
五つを毎回全部見る必要はありません。事実だけは必ず見て、あとは読んでいて引っかかったときに使う。毎回きちんと五つ通すと続かないので、必要なときだけ増やすほうが現実的でした。
逆に、送る相手が増えるほど事実の確認は重要になります。同じ下書きを少し変えて複数の相手に送っていると、別の相手に書いた内容が混ざることがあります。ここは自分の記憶に頼らず、毎回読み直すところです。
01 事実:確認できる内容だけか
自分と相手について、確認できる内容だけが書かれているかを見ます。ここだけは必ず見てください。あとの4つは次の返信で直せますが、事実は直せません。
02 距離感:踏み込みすぎていないか
まだ親しくない相手へ、急に馴れ馴れしい表現や踏み込んだ質問をしていないかを見ます。目安は、相手がまだ書いていないことに触れていないかです。
03 普段の語尾:自分が使う言葉か
自分が使わない敬語や絵文字を減らし、普段の長さへ直します。「とても素晴らしいですね」を「いいですね」にするだけでも変わります。
04 質問の数:一度に一つまでか
一度に答える必要がある質問を一つまでに絞ります。2つあると片方だけ答えられて、もう片方が流れます。
05 入力情報:渡さなくてよいものは消す
氏名、連絡先、住所など、生成に不要な情報を入力していないかを確認します。会話は相手の情報でもあるので、自分の判断だけで外へ出せるものではありません。
整いすぎた文を短くする例。意味は変えずに削る
以下は記事のために作った例文です。意味は変えず、普段使わない言葉と重複だけを減らしています。
直すときのコツは、足すのではなく削ることです。AIの案は言葉が多めに出てくるので、削るだけで自分の長さに近づきます。足そうとすると、こんどは説明が増えて、また遠ざかります。
AIの下書き
それはとても素晴らしいですね。私も以前から大変興味を持っておりました。ぜひ詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
直した例
いいですね。私も少し気になっていました。どんなところが好きですか?
意味を変えず、普段使わない強い言葉と重複を減らしています。
AIの下書き
そのお気持ち、とてもよく分かります。私も同じような経験をしたことがあり、当時は本当に大変でした。お力になれることがあれば何でもおっしゃってください。
直した例
大変でしたね。私も似たことがあって、そのときは時間がかかりました。
「同じような経験」を「似たこと」に弱めています。⚠️ 同じ経験だと言い切ると、次の会話で中身を聞かれます。実際にどうだったかを書けないなら、そこまで強く書かないほうが安全です。
直す量を減らす頼み方。出させる前に条件を渡す
直す作業そのものを減らす方法もあります。出させる時点で条件を渡しておくことです。整った文章が返ってくるのは、条件を渡していないからでもあります。
渡すと効くのは4つでした。文の長さ、敬語の度合い、質問の数、自分の事実。「3行以内で、敬語は控えめに、質問は1つまで。私は映画をあまり見ないので、その前提で」と書いておくと、直す箇所がかなり減ります。
とくに効くのが自分の事実を先に渡すことです。渡していない部分は埋められるので、先に埋めておけば埋められません。「行ったことがあるのは近所のカフェだけ」と書いておけば、行っていない店が入りません。
もう一つ、1つを直すより3つから選ぶほうが早いという点もあります。候補を3案出させて、自分に近いものを選んでから直す。ゼロから直すより、選んだ時点で半分終わっています。
ただし、候補が並んでいると「どれかを選ばないといけない」気持ちになります。⚠️ どれも自分の言い方ではないと感じたら、全部捨てて一言だけ書くでかまいません。候補は選択肢であって、注文ではありません。
条件を毎回書くのが面倒なら、同じ文面を使い回せば足ります。相手が変わっても、自分の側の条件(文の長さ、敬語の度合い、自分の事実)はあまり変わりません。
条件を渡しても、整いすぎた文が返ってくることはあります。そのときは具体例を1つ渡すのが効きました。自分が過去に書いた返信を1通見せて「この調子で」と言うほうが、言葉で説明するより早く伝わります。
最後に声に出して読む。直すのは一文だけでいい
五つを見たあと、最後に声に出して読みます。目で読むと通ってしまう不自然さが、口に出すと引っかかります。自分が実際に話す様子を想像すると、長さや語尾に気づきやすくなります。
違和感があったときに、全文を書き直す必要はありません。その一文を削るだけで足りることがほとんどです。削っても意味が通るなら、もともと要らない文でした。
直しすぎる必要もありません。少し丁寧なくらいは自然です。基準にするのは、実際に会って話したときに同じ人だと分かるかという程度で足ります。
慣れてくると、この確認は読み返さなくてもできるようになります。最初のうちだけ、声に出す手順を挟んでおくと、自分がどこで丁寧になりすぎるかが分かってきます。
Resuruも、三つの案から近いものを選び、自分の言葉へ直す使い方を前提にしています。設計の背景は返信を考えているだけで時間が過ぎる。その時間を減らしたくてResuruを作ったにまとめています。
読み上げる時間が惜しいと感じるなら、最後の一文だけでも効きます。文章の終わり方に、普段使わない言い回しが残りやすいからです。
それでも違和感が残るなら、その下書きを使わない判断もあります。選んだ案が合っていないだけのこともあるので、別の案に戻るか、一言だけ自分で書くほうが早い場面があります。
読み返す場所を1つに絞るなら、書き出しと締めです。真ん中は自分の言葉になっていても、ここだけ借りた言い方が残ることがあります。文章の端は、直すときに後回しになりやすい場所でした。
よくある疑問と、AIへ何を入れないかの線引き
AIの案をそのまま送ってはいけませんか?
禁止ではありませんが、自分の事実と合っているかだけは見てください。行っていない場所や持っていない趣味が入ったまま送ると、次の会話でその話が続きます。文の形は借りて、中身は入れ替えるのが安全な使い方です。
どこから直せばいいですか?
事実からです。語尾や長さは次の返信で直せますが、事実の間違いは回収できません。会うことになれば、そこまで話がついてきます。順番を守るだけで、直す量が減ります。
「AIっぽい文章」はどこで分かりますか?
決まった特徴があるわけではありませんが、自分が普段使わない語が混ざっていると浮きます。「とても素晴らしい」「ぜひお聞かせください」のような、丁寧だが距離のある言い方です。声に出して読むと気づきます。
AIに相手のメッセージを丸ごと貼ってもいいですか?
勤務先や学校の名前、待ち合わせ場所、相手の下の名前は消してから渡しています。固有名詞がなくても、返信の組み立ては作れます。会話は相手の情報でもあるので、自分の判断だけで外へ出せるものではありません。
直した結果、そっけなくなりました。
削りすぎたかもしれませんが、そっけないと感じるのは、元が過剰だったからということもあります。判断に迷ったら、普段その相手に送っている文章と並べて見てください。
毎回この確認をするのは大変ではないですか?
五つ全部を毎回は見ていません。事実だけは必ず見て、あとは違和感があったときに使うという順番で足ります。慣れると、読み返しながら同時に見られるようになります。
この記事の例文は、記事のために作ったものです。実際の利用者のメッセージではありません。そのまま送るのではなく、自分の事実と普段の言い方に置き換えてください。
五つのうち、入力する情報だけは性質が違います。他の4つは送る文章の話ですが、これは渡す前の話です。今回の下書きには影響しなくても、同じ渡し方を繰り返せば積み上がります。
覚えておくと使えるのは、内容は自分で決めて、言い方だけ借りるという1点です。この切り分けができていれば、直す作業は短く済みます。
最後に、この五つは相手をよく見せるための確認ではありません。自分が説明できる文章だけを送るための確認です。送ったあとに聞かれて答えられるかどうか、そこだけを見ています。
AIの出力を採用する前に通している確認は生成AIの回答は正しい?そのまま採用する前に通す確認5つにまとめています。



