競合がいると、作る意味がないように感じることがあります。ただ、確認したいのは似た機能の有無だけではありません。誰に、どの場面で、どんな約束をしているかを比べます。機能の丸バツをそろえても、そこがずれていなければ選ばれません。この記事では、調べる七項目、レビューの読み方、比較表を一枚にまとめる形、入口を狭くする考え方、そして調べたあとに何が決まらないかまで、実際にやっている順番で、一つずつ並べます。
まず調べる七項目。機能より先に対象と場面
七項目のうち、最初の2つがいちばん重いです。対象ユーザーと利用場面、そして最初に訴求している価値。ここが自分の案と同じなら、機能を足しても差になりません。
機能の一覧から入ると、丸バツの表ができます。読むと分かった気になりますが、選ばれる理由はそこに出てきません。同じ機能を持っていても、誰に向けているかで別のアプリになります。
⚠️ 最終更新日は必ず見てください。止まっているアプリは競合ではありません。並べると多く見えますが、実際に動いているものだけを数えると、かなり減ります。
最後の「入口」も見落とされやすいところです。どこから知られているかは、機能と同じくらい結果を左右します。ここが強い相手とは、機能で並んでも会えません。
七項目を全部埋めようとすると終わりません。先に2つだけ見て、似ていないと分かったらそこで止めるのも手です。全部埋めるのは、対象と場面が近い相手だけで足ります。
⚠️ 調べる相手を、アプリだけに限らないのも大事です。紙のノート、既存の機能、人に聞くという手段。それで足りているなら、同じ場面の競合です。
- 対象ユーザーと利用場面。
- 最初に訴求している価値。
- 主要機能と操作の流れ。
- 無料範囲、課金方法、価格。
- 高評価・低評価の理由。
- 最終更新日と更新内容。
- 公式サイト、記事、SNS、広告などの入口。
レビューは要望の数だけで決めない。状況まで読む
レビューに書かれた機能をすべて足すと、別の人にとって使いにくくなる場合があります。どんな状況の人が、何をしようとして困ったのかまで読みます。
同じ不満が複数回出ていても、自分の対象ユーザーに関係しないなら優先度は低くなります。数だけで並べると、対象が広い要望が上に来ます。
低評価だけを読むと、その領域が全部だめに見えます。高評価の中で何が褒められているかを見るほうが、こちらが用意すべき水準が分かりました。
⚠️ 書かれていないことも情報です。レビューに出てこない機能は、要らないのか、あって当たり前なのかのどちらかです。触ってみないと、どちらかは分かりません。
AIに手伝わせる場合の分担はAIを使った競合調査の進め方|裏の取り方と、任せない判断にまとめました。候補を広げるのは任せて、開いて確かめるのは自分という分け方です。
レビューを読むときは、書いた人の目的を推測しないようにしています。書かれていることだけを材料にして、足りない部分は分からないままにしておくほうが、判断を誤りません。
レビューの数そのものは、利用者数の代わりにならない点も覚えておきます。書く人は一部なので、少ないから使われていないとは言えません。
比較表を一枚にする。項目を増やしすぎない
調べたものは、一枚の表にまとめます。縦に項目、横に競合と自分の案。ここで行が多すぎると、見比べられません。
行に入れるのは、対象、主な価値、収益の3つで足ります。機能を1つずつ並べたくなりますが、前述のとおり、そこで差はつきません。
表を作る目的は、自分の案の列が書けるかを確かめることです。競合の列は埋まるのに自分の列が埋まらないなら、まだ決まっていません。
表は、あとから見返せる形で残します。時間が経つと相手の状況も変わるので、調べた日を一緒に書いておくと、いつの情報かが分かります。
表に並べたあと、自分の列だけを読んでみると分かります。それだけを読んで魅力が伝わるなら、比較表を出さなくても説明できるということです。
| 項目 | 競合A | 競合B | 自分の案 |
|---|---|---|---|
| 対象 | 幅広い利用者 | 業務利用 | 初めて使う個人 |
| 主な価値 | 多機能 | 共有・管理 | 一つの操作を短く |
| 収益 | 広告 | 法人契約 | 無料+必要機能の課金 |
表は左右にスクロールできます。
差が見つからないときにやること。作らない判断も
調べた結果、自分の案が既存と同じだったということは普通に起きます。ここでどうするかを書いておきます。
やりがちなのは、機能を足して差を作ろうとすることです。ただ、対象と場面が同じなら、機能を足しても並ぶだけです。選ぶ理由としては弱い。
私は返信アプリでそれをやりました。公開9日で利用者が0人だったので、同じ領域を118本調べたところ、想定していた差が差になっていませんでした。同じことを謳っているものが多く、そのまま機能を足しても順番は変わらない状態でした。経緯は公開9日で利用者0人。118本を調べて、返信AIが選ばれにくい理由を見直したに書いています。
このとき取ったのは、何を中心に置くかから見直すという方法でした。機能ではなく、誰のどの場面かを変えています。
審査で止まることもあります。私は位置情報のアプリで、既存の類似アプリが多いことを理由に却下されました。機能を削っても説明を書き換えても通らず、最終的にアプリの主語そのものを変えています。App Storeに「似たアプリはもう十分ある」と言われて、アプリの主語を変えたに書きました。
⚠️ 差が見つからないなら、作らない判断もあります。開発時間を使う前に分かったなら、それは収穫です。案の捨て方はアプリのアイデアが出ないとき。日常の不便から一文に変えるに書きました。
差が無いと分かったときに、すぐ結論を出さなくてもかまいません。しばらく置いてから見ると、別の切り口が見えることがあります。私も、見直すまでに数日かかっています。
見直すときに効いたのは、自分が使いたい形を書き出すことでした。市場の隙間を探すより、そちらのほうが具体的に出てきます。
この経験から言えるのは、差が無い状態は外からも見えるということでした。審査する側からも、何が新しいのか判断できなかったわけです。
競合が強いほど、入口のほうを狭くしていく
同じ市場で全部の機能を追うより、特定の利用場面だけを短く解決するほうが、最初の版を作りやすくなります。
入口を狭くすると、説明が一文で済みます。「◯◯な人が、◯◯する場面で使う」と言えるなら、機能表で比べられる前に選ばれる可能性があります。
広く作ると、比べる土俵が相手と同じになります。資源の差がそのまま出る土俵なので、一人でやっている側には不利です。
狭くするのは、対象を減らすことではありません。最初に届ける相手を決めるだけです。広げるのはあとからできます。
違いが見つかったら、MVPとは?最初のアプリで機能を絞る方法と、外れたときの扱いで最初の版へ落とします。仮説を一つ決めて、それを試す形にします。
狭くするときは、自分が一番よく知っている場面を選ぶと具体的になります。知らない場面を狙うと、何を短くすればよいかが分かりません。
広げるのは、狭いところで手応えがあってからです。順番を逆にすると、どこで効いているのか分からないまま広がります。
よくある疑問と、調査では決まらないことについて
競合がいたら諦めるべきですか?
いることは需要がある証拠でもあります。確認したいのは機能の有無ではなく、誰にどの場面で何を約束しているかです。そこがずれていれば、同じ機能でも別のアプリになります。
何を調べればいいですか?
対象と利用場面を先に見てください。機能の一覧から入ると丸バツの表ができますが、選ばれる理由はそこに出てきません。⚠️ 最終更新日も必ず見ます。止まっているアプリは競合ではありません。
レビューはどう読めばいいですか?
要望の数だけで決めないでください。どんな状況の人が何をしようとして困ったのかまで読みます。自分の対象に関係しない不満は、複数回出ていても優先度は低いです。
差が見つかりませんでした。
機能を足して差を作ろうとしないでください。対象と場面が同じなら、足しても並ぶだけです。何を中心に置くかから見直すか、作らない判断をするかのどちらかになります。私は前者を選んで、アプリの主語を変えました。
比較表には何を書きますか?
対象、主な価値、収益の3つで足ります。機能を1行ずつ並べると見比べられません。表を作る目的は、自分の案の列が書けるかを確かめることです。埋まらないなら、まだ決まっていません。
調べれば作るかどうか決まりますか?
決まりません。競合が多いからやめる、少ないからやる、という話ではないからです。私が続けている2つのアプリも競合が多い領域です。調査は判断を助けますが、代わりにはなりません。
競合は何本くらい調べればいいですか?
対象と場面が近いものだけで足ります。全部を七項目まで埋めようとすると終わりません。私が118本調べたのは、感覚と結果が食い違っていて、範囲そのものを疑う必要があったからです。通常はそこまで要りません。
調べる前に作り始めてもいいですか?
⚠️ 案が固まってから調べると、都合の悪い結果を見なかったことにしたくなります。作り始める前に、対象と場面だけでも見ておくほうが判断がぶれません。
審査で「似たアプリが多い」と言われました。
表面を直して通る種類と、そうでない種類があります。私は機能を削っても説明を書き換えても通らず、最終的にアプリの主語そのものを変えました。人を探すのではなく、近所の予定を探す形にしています。
調べた内容はいつまで有効ですか?
価格も機能も提供状況も変わります。調べた日を一緒に残しておいてください。半年前の調査を今の判断に使う事故は、日付を書くだけで減りました。
⚠️ この記事は、特定のアプリの評価や比較を書いていません。調べるときに見る項目だけを示しています。実際の評価は、自分の対象と場面に照らして決まります。
また、市場規模や収益性の推定も扱っていません。私自身がまだ確かめられていないためです。
覚えておくと使えるのは、機能ではなく対象と場面を比べるという1点です。機能の丸バツをそろえても、誰のどの場面かがずれていなければ選ばれません。そこは調べたあとに、自分で決める部分です。
調べる作業は、判断を楽にするためのものです。増やしすぎると、それ自体が目的になります。



